株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXでは、為替変動を狙った売買による利益や、スワップポイントという通貨間の金利差による利益も期待できます。
金利差の大きい通貨を保有して、安定した利益を毎日手に入れたいと考えていても、為替変動リスクなどを伴うため、サヤ取りを検討している人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、FXのサヤ取りとはどんなものなのか、そのリスクと対策について詳しく解説します。
Contents
FXのサヤ取りはリスクが低い
FXで取引する通貨には金利差があるため、金利の低い通貨で金利の高い通貨を購入すると、金利差によるスワップポイントと呼ばれる利益が得られます。
スワップポイントは毎日安定して得られるため、それが目的でFXを始めた人も多いのではないでしょうか?
しかし、金利の高い通貨は取引が少なく、経済的に安定していない国が多いため、大きな為替変動によって損失が生じる可能性があります。
そこで登場するのがFXのサヤ取りです。
FXのサヤ取りとは、異なるFX業者で同じ通貨の反対取引をして、為替変動によるリスクを抑えながら買いスワップと売りスワップの差を安定して得るという方法です。
例えば、アイネット証券の南アフリカランドの買いスワップは150円ですが、GMOクリック証券の南アフリカランドの売りスワップは110円です。
アイネット証券では「買い」、GMOクリック証券では「売り」ポジションを保有すれば、為替変動を気にせずにスワップ差の40円を毎日安定して得られるというのがサヤ取りの魅力です。
FXのサヤ取りのメリット
FXのサヤ取りには、為替変動を気にせずに毎日安定したスワップポイントが得られるという魅力がありますが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
FXのサヤ取りのメリットは以下の3つです。
- レートの上下を気にせずに済む
- 運用の手間を省ける
- 専門的な知識が必要ない
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
レートの上下を気にせずに済む
メリットの1つ目は、レートの上下を気にせずに済むということです。
例えば、スワップポイントを狙った買いポジションを保有していても、為替変動でレートが下がった場合は為替差損が生じることになります。
かといって、下がり始めたら一度手放して底で購入し直すという作業を繰り返していては、安定したスワップポイントを得られにくいだけでなく手間がかかります。
サヤ取りは、一方で損失が生じていても反対ポジションで利益が生じているため、レートの上下を気にせずに安定したスワップポイントを得られることがメリットと言えるでしょう。
運用の手間を省ける
メリットの2つ目は、運用の手間を省けるということです。
為替差益・一般的なスワップポイントを狙った取引では、損が生じないようにチャートをしっかり確認しておく必要があります。
しかし、サヤ取りが目的の取引では、サヤ取りに影響を与える大きな為替変動が生じない限りは、都度チャートを見ておかなくても問題ありません。
運用の手間を省けるため、時間を効率的に使えることがメリットと言えるでしょう。
専門的な知識が必要ない
メリットの3つ目は、専門的な知識が必要ないということです。
為替差益を狙った取引は、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析などを駆使しながら、次にどのような為替変動が生じるのかを予測する必要があるため、専門的な知識が必要です。
また、一般的なスワップポイントを狙った取引でも、買いポジションの場合には底値で、売りポジションの場合には高値でポジションを保有する必要があるため、こちらも専門的な知識が必要になります。
しかし、サヤ取りはレートの上下を気にせずに済むため、専門的な知識が必要ありません。
そのため、初心者でも取り組みやすいことがメリットと言えるでしょう。
FXのサヤ取りのデメリット
FXのサヤ取りには、「レートの上下を気にせずに済む」「専門的な知識が必要ない」などのメリットがありましたが、デメリットはあるのでしょうか?
FXのサヤ取りのデメリットは以下の2つです。
- 得られる利益が少ない
- 多額の資金が必要になる
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
得られる利益が少ない
デメリットの1つ目は、得られる利益が少ないということです。
サヤ取りでは、為替変動リスクを軽減するために反対ポジションを保有しますが、反対ポジションではマイナスのスワップポイントが生じるため、利益が少なくなることがデメリットと言えます。
そのため、少しでもサヤ取りの利益を増やしたい場合には、プラスのスワップポイントが大きい業者とマイナスのスワップポイントが小さい業者間でサヤ取りをすることが大きなポイントと言えるでしょう。
多額の資金が必要になる
デメリットの2つ目は、多額の資金が必要になるということです。
繰り返しお伝えしているように、サヤ取りでは反対のポジションを保有する必要があります。
例えば、南アフリカランドで150円分のスワップポイントを得る場合は、7.6円の南アフリカランドが10万通貨必要です。
しかし、サヤ取りでは反対ポジションとしてさらに10万通貨が必要になるため、「7.6円×20万通貨=152万円」と必要資金が倍になることがデメリットと言えます。
レバレッジで自己資金比率を減らせますが、半分の資金でスワップポイントを狙うか、リスクを抑えてサヤ取りを狙うかをよく考える必要があるでしょう。
FXのサヤ取りの2つのリスクと対策
FXのサヤ取りでは、安定したスワップポイントを得る際のリスクとなる「為替変動リスク」をうまく抑えてくれるのが魅力です。
しかし、為替変動リスクを抑えてくれると言っても、他にもリスクを伴うため、それらのリスクに対する対策をしっかり練っておくことが重要です。
FXのサヤ取りには、以下の2つのリスクを伴います。
- 金利変動リスク
- ロスカットリスク
それぞれのリスクと対策について詳しく見ていきましょう。
金利変動リスク
リスクの1つ目は、金利変動リスクです。
大幅な変動が生じることはあまりありませんが、FX業者が付与するスワップポイントは毎日決定されているため、日によっては多少の差が生じる可能性があります。
例えば、A社では南アフリカランドの買いポジションに対してスワップが150円、B社では売りポジションに対してスワップが110円で設定されていたとします。
この場合では毎日40円得られますが、A社が120円、B社が130円に切り替えると損をすることになるため注意が必要です。
また、高いスワップポイントの通貨を取引していても、各国の政策金利の変更で利下げが生じた場合には得られる利益が少なくなります。
金利変動リスクを抑えるためには、適宜付与されるスワップポイントがいくらなのか確認するほか、すぐに切り替えられるように複数のFX業者の口座を開設しておくことが重要と言えるでしょう。
ロスカットリスク
リスクの2つ目は、ロスカットリスクです。
サヤ取りは、反対ポジションも保有しているため、為替変動リスクを抑えられますが、あまりにも大きな為替変動の場合にはどちらか一方のポジションがロスカットされる可能性があります。
ロスカットによる損失を防ぐには、レバレッジ倍率を低くする方法や指値しておくという方法が挙げられます。
レバレッジ倍率を低くすれば、証拠金維持がしやすくなる一方で、資金効率がさらに悪くなります。
ロスカットの手前で買いポジションと売りポジションの相殺ができる状況にしておけば、ロスカットになった後のリスクを軽減できます。
こちらは、資金効率が悪くならないため、最も効率的な対処法と言えるでしょう。
まとめ
FXには為替差益を狙った取引だけでなく、スワップポイントという金利差を狙った取引もあります。
スワップポイントは安定した利益を毎日得られることが魅力ですが、スワップポイントが高い通貨は為替変動が大きいことが多いので、為替変動リスクへの対策が重要です。
為替変動リスクへの対策として、反対ポジションを同時に保有するサヤ取りがありますが、サヤ取りも完璧な手段ではありません。
金利変動リスクやロスカットリスクを伴うため、適宜スワップポイントを確認する、複数のFX業者で口座開設する、レバレッジを低くする、指値をしておくといったリスク対策が安定した利益につながるでしょう。