株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
ポジションの保有期間が短いスキャルピングやデイトレードでは、急に為替相場が動くと影響を大きく受けます。
そのような状況では、保有しているポジションをどうするかという速やかな判断が求められます。
そのような状況で用いるのがドテン買いやドテン売りです。ドテンとはどんな取引手法なのでしょうか?
そこで今回は、FXのドテンとはどのようなものなのか、ドテンのメリットとデメリットを解説します。
Contents
FXのドテンは難しい?
FXでは、為替が上がりそうだと予想した時は、買いポジションで取引に参加して、利益が目標に達すると決済します。
逆に、為替が下がりそうだと予想した時は、売りポジションで取引に参加して、利益が目標に達すると決済します。
このように、予想結果に応じて一方にエントリーするのが一般的です。
ドテンとは、どちらか一方のポジションから反対のポジションに切り替える取引方法です。
「ただのポジション切り替えなのでは?」と思った人もいるのではないでしょうか?
通常ポジションを切り替える場合には、決済注文を行ってから買い注文または売り注文を行う必要があります。
しかし、ドテンでは反対注文の際に、保有中のポジションは決済されるため、一度の注文でポジション切り替えが可能です。
ドテンには、ドテン買いとドテン売りの2種類あります。
それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
ドテン買いとは
ドテン買いとは、保有している売りポジションを上回る買い注文で、買いポジションに切り替える取引手法です。
例えば、レンジ相場でレジスタンスラインから徐々に下がってきて、サポートラインで反転するタイミングでドテン買いを行います。
そうすることで、保有していた売りポジションで利益を得るだけでなく、速やかに次の買いポジションに移ることが可能です。
また、売りでエントリーしたものの、予想が外れて為替相場が上昇した場合にも、ドテン買いが有効です。
買いに乗り換えることで、損切りした分を補えるだけでなく利益が期待できるため、ドテン買いは有効な取引手法と言えるでしょう。
ドテン売りとは
ドテン売りとは、ドテン買いとは逆に、保有中の買いポジションを上回る売り注文で、売りポジションに切り替える取引手法です。
例えば、レンジ相場でサポートラインから少しずつ上がってきて、レジスタンスラインで反転するタイミングでドテン売りを行います。
そうすることで、保有していた買いポジションで利益を得るだけでなく、速やかに次の売りポジションに移ることが可能です。
また、買いでエントリーしたものの、予想が外れて為替相場が下落した場合にも、ドテン売りが有効です。
売りに乗り換えることで、損切りした分を補えるだけでなく利益が期待できるため、ドテン売りはドテン買いと同様、有効な取引手法と言えるでしょう。
ドテンの2つのメリット
ドテン買いとドテン売りは有効な取引手法ということは分かりましたが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
ドテンの主なメリットは以下の2つです。
- 両方のポジションで効率良く利益が得られる
- 損失を最小限に抑えられる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
両方のポジションで効率良く利益が得られる
レンジ相場では、レジスタンスラインで売り圧力で為替が下がり、サポートラインで買いのサポートで為替が上がるという変動を繰り返します。
例えば、サポートラインでまずは買いエントリー、レジスタンスライン到達でドテン売り、サポートラインでドテン買いをします。
そうすれば、レンジの動きに合わせてエントリーと決済を一度の注文で同時に行えるため、より効率良く利益が得られるでしょう。
損失を最小限に抑えられる
例えば、経済指標の発表された内容や要人発言の内容がエントリー方向とは異なる場合は、すぐ損切りを行わないと損失が拡大する可能性があります。
そのような場合でもドテンを用いれば、保有中のポジションを速やかに損切りできるだけではなく、反対ポジションへのエントリーも同時に行えます。
そうすることで、損失を最小限に抑えられるだけでなく、反対方向への為替変動の流れにも乗れるため、損失の縮小や利益への切り替えが期待できるでしょう。
ドテンの2つのデメリット
ドテンは、両方のポジションで効率良く利益が得られる・損失を最小限に抑えられるというメリットがありましたが、ドテンには何かデメリットはあるのでしょうか?
ドテンの主なデメリットは以下の2つです。
- 往復ビンタになる可能性がある
- FX初心者には難しい
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
往復ビンタになる可能性がある
経済指標の発表された内容や要人発言の内容がエントリー方向とは異なった場合に、速やかな損切りと反対方向へのエントリーを目的としてドテンする際は、必ず反対方向に継続的な為替変動が生じるとは限りません。
経済指標の発表された内容や要人発言の内容次第では、市場がその内容に過剰に反応して、一時的に大きな為替変動が生じるものの、すぐに元の水準に戻るということも。
そのような状況でドテンした場合には、損切りによる損失だけでなく、新たにドテンでエントリーしたポジションにも損失が生じて往復ビンタになります。
ドテンは損失を大きく広げてしまう可能性もあるため、ドテンを使う際はよく考えてから使う必要があるでしょう。
FX初心者には難しい
「往復ビンタを防ぐために、レンジ相場だけでドテンを利用すれば問題ないのでは?」と思っている人もいるかもしれませんが、そんなに簡単なものではありません。
例えば、レジスタンスラインに到達したと同時にドテン売りを行ったところ、レジスタンスラインを突破して上昇トレンドに切り替われば新しいエントリーに対して損失が生じます。
反対に、サポートラインに到達したと同時にドテン買いを行ったところ、サポートラインを突破して下降トレンドに切り替わることも。
サポートラインでドテン買い、レジスタンスラインでドテン売りとは言い切れるものではありません。
相場の状況を考慮しながらエントリーしなければならないため、知識や経験の少ないFX初心者には、ドテンを使いこなすことは難しいと言えるでしょう。
他の分析手法と組み合わせることが重要
ドテン買いやドテン売りは間違った取引手法ではありません。
ただし、それらを用いるにはきちんとした根拠が必要です。
例えば、テクニカル分析を用いて、本当にサポートラインで買いサポートで為替が上昇するか分かれば、ドテン買いの成功率は上昇します。
ただ単に、レンジのレジスタンスラインやサポートラインでドテンを用いればいいというものではなく、エントリーにしっかりと根拠があれば、損失を抱えるリスクが減少します。
ドテンをFXの取引に用いる場合は、他の分析手法と組み合わせて、成功率を高めることが重要と言えるでしょう。
まとめ
FXには、買いポジション・売りポジションのどちらか一方を保有する一般的なエントリー方法、買いポジションと売りポジションの両方を保有する両建てというエントリー方法があります。
他にも、ドテンというエントリー方法もあります。
ドテンとは、保有中のポジションの決済と反対ポジションのエントリーを一度の注文で行うエントリー方法です。
ドテンには、両方のポジションで効率良く利益が得られる・損失を最小限に抑えられるというメリットがある一方、往復ビンタになる可能性がある・FX初心者には難しいというデメリットがあります。
そのため、ドテンを用いる場合には、テクニカル分析といった他の分析手法と組み合わせて成功率を高めてから用いるようにしましょう。