株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXでは、各国が発行している通貨の変動を予測しながら取引して差益を得ます。
しかし、通貨と一口に言っても数多くの通貨が扱われているため、どの通貨を選んで取引すべきか分からない人も多いと思います。
数多くある通貨の中には、世界経済に大きな影響を与える中国が発行している人民元もありますが、リスクはどうなのでしょうか?
そこで今回は、FXで人民元を取引する際のリスクについて解説します。
Contents
FXでの人民元取引はリスクが高い?
世界の面積ランキングでは4位にランクインし、世界の人口ランキングでは堂々の1位を誇っている中国。
中国は、アメリカ・香港・日本・韓国・ドイツなどを主要輸出国、韓国・日本・アメリカ・台湾・ドイツなどを主要輸入国としながら経済成長し続けています。
ただ、中国の経済成長は著しく世界経済に与える影響が大きくなっていますが、日本のバブル期のように最終的にバブルが崩壊するのではないかと懸念されています。
そのため、「FXでの人民元取引はリスクが高い」と考えている人も数多くいます。
人民元と関係あるFXのリスクを見ていきましょう。
人民元と関係あるFXのリスク5つ
ペイオフという制度で、1金融機関あたり1,000万円と利息が保証されている銀行預金とは異なり、元本保証がないFXはリスクによる元本割れと常に隣り合わせの状況です。
FXには数多くのリスクがありますが、その中でも人民元と関係あるリスクが以下の5つです。
- 為替変動リス
- カントリーリスク
- 金利変動リスク
- 流動性リスク
- ロスカットリスク
それぞれのリスクについて見ていきましょう。
為替変動リスク
FXでは、為替変動に合わせて取引することによって差益を得ます。
しかし、為替変動は、自分が予想した通りになればリスクにはなりませんが、自分の予想と異なる変動が生じて損失が生じた場合はリスクになるので注意が必要です。
中国は数多くの国々と貿易で取引しているため、中国の経済指標だけでなく、主要取引先の経済指標などの影響を受けて人民元の変動が不安定になるケースもあります。
為替変動は予想が当たることで安定した利益が出ることを考えると、予想しにくい人民元は為替変動リスクが高いと言えるでしょう。
カントリーリスク
カントリーリスクとは、通貨を発行している国の信頼度のことです。
例えば、通貨を発行している国の政治や経済情勢の悪化、戦争・テロの発生などで国の信頼度が低いとカントリーリスクが高いと言えます。
カントリーリスクが高い通貨は為替変動が大きくなりやすいほか、政治・経済情勢の悪化や戦争・テロで国家が破綻した場合には通貨そのものがなくなる可能性があります。
人民元は面積が世界4位、人口が世界1位を誇っている中国が発行している主要通貨であるため、実際そうなる可能性は低いと言えます。
しかし、何が起こるかはその時になってみないと分からないため、カントリーリスクが全くないとは言えないので注意しましょう。
金利変動リスク
FXでは、為替だけが毎日変動しているのではなく、金利も毎日変動しています。
また、金利変動は為替変動にも影響を与えるので注意が必要です。
金利変動が生じると、スワップポイントを狙って取引していた人がポジションを解消する可能性が高くなります。
そうなると、金利変動をきっかけに大きな為替変動が生じることになるので為替変動リスクも高くなります。
人民元は、南アフリカランドやトルコリラなどと比較すると得られるスワップポイントが少ないものの、高いスワップポイントが得られる通貨に分類されます。
そのため、金利変動リスクによる影響を受けやすいので注意しましょう。
流動性リスク
流動性とは需要と供給のバランスのことで、流動性が低い状況は需要が少なく供給が多い、流動性が高い状況は需要が多く供給が少ない状況を意味しています。
流動性が高い通貨は、自分が売りたいと思った価格で売りやすい、自分が買いたいと思った価格で買いやすいというメリットがあります。
流動性が低い通貨はその真逆で、スムーズな取引が困難になる可能性があるので注意が必要です。
また、流動性が低いと板に並んでいる注文が少ないため、何らかの要因で大きな為替変動が生じた場合の影響を受けやすいというデメリットもあります。
米ドル・円といったメジャー通貨は流動性が高いので問題ありません。
しかし、人民元はマイナー通貨で流動性リスクの影響を受けやすいので注意しましょう。
ロスカットリスク
ロスカットとは、FX業者に預けた証拠金を上回る損失が生じないように、損失がFX業者の定めた水準に達した場合に強制決済する仕組みのことです。
「ロスカットの仕組みで守られているのになぜロスカットリスクなの?」と疑問を抱いた人もいるのではないでしょうか?
ロスカットは、保証金を上回る損失を防いでくれますが、含み損で済んでいた状況を確定させてしまいます。
含み損のままであれば、いつか含み益に変わる可能性があったにもかかわらず、その可能性が消失します。
為替変動が不安定になりやすい通貨はロスカットリスクが高くなるため、人民元の取引を検討している人はロスカットリスクにも注意しましょう。
中国人民銀行の影響を受ける
人民元は、米ドルや日本円・ユーロなどと比較すると、まだまだマイナー通貨であるため、メジャー通貨より全体的にリスクが大きくなります。
また、人民元は中国人民銀行の影響を受けやすいので注意が必要です。
例えば、2015年には、中国人民銀行が人民元の大幅な切り下げを実施したことでチャイナショックと呼ばれる人民元の価値が大きく下がる混乱が生じました。
このようなチャイナショックが再度起きるとは言い切れませんが、中国人民銀行の動向によっては為替変動に大きな影響があるのでリスクが大きいと言えるでしょう。
扱っているFX業者が少ない
リスク対策をしっかりしていれば、人民元でも十分に利益を得られます。
しかし、人民元を扱っているFX業者が少ないため、スプレッドが広い、最低取引単位が大きい、システムが使いづらいなどの問題が生じる可能性があります。
そのため、人民元の取引をする際には、上記で解説したリスク以外にもリスクがないのかをよく考えてから取引しましょう。
まとめ
経済成長を続けている中国ですが、まだまだ発展途上国というポジションなので、人民元はメジャー通貨ではなく、マイナー通貨として扱われています。
そのため、為替変動リスク、カントリーリスク、流動性リスクなどのリスクがメジャー通貨よりも高くなります。
人民元の取引をする際は、リスク管理を徹底することを忘れないように注意しましょう。