株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXは為替変動が小さいため、レバレッジを効かせた取引を行っている人が数多くいます。
レバレッジを効かせた取引は、自己資金以上の取引ができるため、自己資金を超える損失が発生する可能性がありますが、ロスカットがあっても防ぐことはできないのでしょうか?
そこで今回は、FXの取引で損失が発生した場合に、借金を背負う可能性があるのか、また借金を背負わないための4つの対策について詳しく解説します。
Contents
損失で借金を抱えることはほとんどない
ネットでFXについて調べていると、「FXで億万長者になった」といった内容の書き込みが見られる一方で、「FXで失敗して借金を背負った」といった内容の書き込みが見られます。
それらの書き込みを見て「FXはそんなにリスクが高いの?」と不安に感じた人もいるかもしれませんが、FXを普通に行っている分には、損失によって借金を背負うことはほとんどありません。
その理由は、FXにロスカットというシステムが組み込まれているためです。
ロスカットがどのようなものなのか見ていきましょう。
ロスカット
ロスカットとは、投資家が口座に預けている証拠金以上に損失が生じる場合に、強制決済を行うシステムのことです。
ロスカットによる強制決済が行われることによって損切りが確定するため、損失が生じることになりますが、損失が口座に預けている証拠金を上回ることは基本的にありません。
注意ポイント
FXの損失で借金を背負うことはほとんどないと言えますが、稀なケースとしてロスカットがうまく作動せず、自己資金以上の損失が生じる可能性があるので注意が必要です。
借金を抱えてしまうケースとは
ほとんどのケースでロスカットによる強制決済が行われるため、損失が原因による借金を背負うことはありませんが、どうなった場合にはロスカットが作動しないのでしょうか?
ロスカットが作動しないケースとして以下の3つがあります。
- ポジションを持ち越したケース
- 急な為替変動が生じるケース
- FX業者にシステムトラブルが生じるケース
それぞれのケースについて見ていきましょう。
ポジションを持ち越したケース
FXは24時間取引できるため、取引時間が平日9時~15時までと限られている株式投資と比べると、日中働いているサラリーマンにとっては取引を行いやすい運用方法と言えます。
しかし、いくら24時間取引できるFXでも、土日は取引できません。
そのため、土日の間に為替変動に大きな影響を与えるような地政学的リスクの高まりや要人発言があった場合は、月曜日の取引開始時に大きな為替変動が生じることになります。
そうなると、需要と供給のバランスが崩れ、金曜日の終値とは大幅に異なる価格から取引が開始されることになるため、ロスカットが間に合わず、結果的に証拠金以上の損失が生じてしまうと言えるでしょう。
急な為替変動が生じるケース
「じゃあ金曜日のうちに売却してしまい、土日をまたがないようにすれば問題ないよね」と思っている人もいるかもしれませんが、影響があるのは土日だけではありません。
現在は落ち着いていますが、北朝鮮がミサイルを頻繁に発射していた時は、土日でなくても大きな為替変動が生じていました。
そのため、土日に限らず、地政学的リスクの高まりや要人発言などによって急な為替変動が生じた場合は、ロスカットが間に合わず、結果的に証拠金以上の損失が生じてしまうことを覚えておく必要があるでしょう。
FX業者にシステムトラブルが生じるケース
上記の2つは、金融商品を投資対象としている以上は、いつ起きてもおかしくないケースと言えますが、これらとは別にFX業者にシステムトラブルが生じてロスカットが作動しないケースもあります。
「FX業者のシステムトラブルは保証してもらうことができないの?」と疑問に感じた人もいるかもしれませんが、基本的には保証してくれません。
そのため、FX業者のシステムトラブルによって、ダウンした時やシステム停止中に大きな為替変動が生じた場合には、強制ロスカットが作動せず、再開した時の大きくずれた価格でロスカットが行われてしまう可能性があります。
このようなケースはほとんど不可抗力と言えますが、それでもルールに従うしかないので、FX取引を行う際には十分に注意する必要があると言えるでしょう。
FXの損失で借金しないための4つの対策
FXには、ロスカットによってほとんど損失で借金することはありませんが、上記のようなケースでは借金を背負う可能性があるので注意が必要です。
では、FXの損失で借金しないためにはどうすればいいのでしょうか?
借金しないための対策は以下の4つです。
- 逆指値を設定しておく
- レバレッジの倍率を下げる
- ゼロカットシステムを活用する
- 冷静に判断する
それぞれの対策について見ていきましょう。
逆指値を設定しておく
ロスカットとは、FX業者が定めている基準での損切りですが、逆指値とは、取引を行っている人が自身で設定する損切りのことです。
逆指値を設定しておけば、損失を自らコントロールできるため、ロスカットより前に損失を最小限に抑えることができます。
ポイント
損を確定させることに対して初めは抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、トレードを本格的に行っている人はほとんどの人が逆指値を設定して、損失を最小限に抑えることでリスクを管理しているため、積極的に取り入れた方が良いと言えるでしょう。
レバレッジの倍率を下げる
レバレッジ倍率は最大25倍まで設定できますが、レバレッジ倍率を上げれば上げるほど、急な為替変動が生じた時のリスクが高くなります。
そのため、FXの損失によって借金を背負わないようにするためにも、倍率を下げて取引を行うことが重要です。
レバレッジの倍率を1倍に設定した場合は、自己資金の範囲で取引を行っているのと同じです。
次にどのような為替変動が生じるのか予想できない時や為替変動が不安定な時には、レバレッジ倍率を下げることでリスク管理を行った方が良いと言えるでしょう。
ゼロカットシステムを活用する
ゼロカットシステムとは、あらかじめ設定しておくことで、自己資金以上の損失が生じないようにするシステムのことです。
例えば、ゼロカットシステムを設定していて、急な為替変動が生じてロスカットが発生した場合には、自己資金以上の損失が発生したとします。
基本的に、損失部分を負担しなければなりませんが、ゼロカットシステムのおかげで負担せずに済みます。
損失部分に関してはFX業者が負担するため、安心して取引を行うことができます。
しかし、日本では、このゼロカットシステムを導入するとFX業者の負担が大きくなりすぎるため、導入している業者は今のところありません。
注意ポイント
海外では、レバレッジ倍率が日本よりも高いことから、ゼロカットシステムを導入している業者も多いため、ゼロカットシステムを活用する場合は、海外のFX業者の口座を開設する必要があるので注意しましょう。
冷静に判断する
FXの取引を行っていて最も怖いのは、冷静さを失ってしまうことです。
「1万円負けたけど、次に2万円勝てばいいだけだ」といった取引を繰り返していると、徐々に取引が雑になってしまい、負けに負けを重ねてしまうことになります。
そうなると、「次こそは」と大きなレバレッジ倍率に変えるほか、借金してまで取引を行う可能性があるので注意が必要です。
リスクを自身で高めてしまうことがないように、冷静な判断を心掛けましょう。
まとめ
FXの取引を普通に行っている場合には、ロスカットというシステムが作動するため、自己資金以上の損失が生じることは基本的にありません。
そのため、損失が生じても借金を背負うことになることはほとんどないと言えますが、急な為替変動やFX業者のシステムトラブルでロスカットが作動しなかった場合には、自己資金以上の損失が生じるので注意が必要です。
借金を背負わないようにするためにも、逆指値を設定しておく、レバレッジの倍率を下げる、ゼロカットシステムを活用する、冷静に判断するなどの対策を練ることによって、リスクを抑えながらFXの取引を行いましょう。