株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXで安定した利益を得るには、相場がどのような状況にあるのかを正しく判断することが重要です。
相場がどのような状況にあるのかを正しく判断する分析手法の1つとしてFXのプロもよく用いる「ダウ理論」がありますが、ダウ理論だけでは勝てないと言われています。
その理由はなぜなのでしょうか?
そこで今回は、FXでよく用いられる分析手法である「ダウ理論」だけでは勝てない理由と正しい活用方法について解説します。
Contents
ダウ理論だけでは勝てない?
FXは、国家が発行している通貨が将来的に上がるか下がるかを予想しながら取引することで差益を得る運用手法です。
ただ単に上がるか下がるか予想するだけであれば当たる確率は50%ですが、確実に利益を得るには予想の精度を高めて確率を上げることが重要です。
予想の精度を高める方法としてテクニカル分析が挙げられます。
テクニカル分析の中には、プロのFXトレーダーも駆使するダウ理論などがありますが、テクニカル分析の分析手法は数種類ではなく100種類以上あります。
なぜテクニカル分析は、100種類以上あるのでしょうか?
その理由はプロのFXトレーダーが駆使するダウ理論にも欠点があるためです。
どの分析手法も何かしらの欠点を抱えているため、これまでに100種類以上の分析手法が生まれています。
ダウ理論も分析手法であることに変わりありませんが、ダウ理論だけでは簡単に勝てないと言えるでしょう。
そもそもダウ理論とは
FXについて調べていると、「ダウ理論」という言葉を1度は目にしたことがある人も多いと思います。
それほど、ダウ理論という考え方はFXでは有名な分析手法ですが、どのような分析手法なのでしょうか?
ダウ理論とは、19世紀後半にチャールズ・ダウという人が考案した理論です。
株式投資で用いられてた理論ですが、FXの世界でも通用することからプロのFXトレーダーも利用しています。
ダウ理論の主な内容は以下の6つです。
- 平均はすべての事象を織り込む
- トレンドには3種類ある
- 主要トレンドは3段階からなる
- 平均は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
上記の6つの内容を見ても意味が分からない人も多いと思いますが、ポイントとなるのは為替変動には3種類あるということです。
どんな為替変動があるのか見ていきましょう。
トレンドとレンジ
為替変動の種類は大きく以下の3つに分類されます。
- 上昇トレンド
- 下降トレンド
- レンジ
上昇トレンドとは、ローソク足の安値と安値、高値と高値がそれぞれ切り上がっている状態です。
一方、下降トレンドとは、安値と安値、高値と高値がそれぞれ切り下がっている状態です。
上昇トレンドが生じている状況は買い圧力が強い状況、下降トレンドが生じている状況は売り圧力が強い状況をそれぞれ表しています。
そのため、上昇トレンドでは買いポジション、下降トレンドでは売りポジションをそれぞれ保有すれば、安定した利益が期待できます。
レンジとは、上昇トレンドや下降トレンドのように明確なトレンドが現れておらず、下限のサポートラインで上昇、上限のレジスタンスラインで下降を繰り返す状態です。
レンジでも安定した利益を得られそうですが、必ずしもサポートラインで上昇、レジスタンスラインで反発するとは限りません。
ポイント
レンジは為替変動が不安定になりやすいため、ダウ理論は上昇トレンドや下降トレンドがハッキリ現れている状況で取引することによって、確実に利益を積み重ねることを目標にしています。
ダウ理論だけでは勝てない2つの理由
ダウ理論を理解して上昇トレンドや下降トレンドに合わせたポジションを持てば、誰でも安定した利益を得られそうですが、実際はダウ理論だけでは勝てません。
ダウ理論だけでは勝てない理由は以下の2つです。
- 有名すぎる理論である
- 後付けになりやすい
それぞれの勝てない理由について詳しく見ていきましょう。
有名すぎる理論である
1つ目の勝てない理由は、有名すぎる理論であることです。
ダウ理論は数多くあるテクニカル分析の中でもメジャーな手法であるため、ほぼ全てのトレーダーが知っていると言えます。
そのため、ダウ理論を駆使して取引するトレーダーも多く、それを狙って嵌めこもうとする機関投資家も多くいるので注意が必要です。
また、ダウ理論はチャートのどの時間足を見るかによっても大きく異なります。
5分足では上昇転換、15分足・1時間足も上昇中で「上昇トレンドなので買い」と取引に参加しても、4時間足や日足が下降トレンドだと、長い時間足に飲み込まれて下落する可能性もあります。
チャートを見ながら、ダウ理論をどの時間足で見ているトレーダーが多いのかを判断する必要があるほか、メジャーであるダウ理論の嵌めこみを狙う機関投資家の策略もいるため、ダウ理論1本に絞っていてはなかなか勝てないでしょう。
後付けになりやすい
2つ目の勝てない理由は、後付けになりやすいことです。
ダウ理論の元である上昇トレンドや下降トレンドは、変動が生じた後のローソク足を結んだものであるため、変動してしばらく時間がたってからエントリーポイントが訪れることになります。
世界経済が安定していてトレンドが継続している場合には問題ありませんが、アメリカや中国の貿易戦争のように不安定な世界経済の状態では、トレンドが短期に終わる可能性があります。
そのため、エントリーポイントが訪れた時点で次のトレンドに切り替わっていて損をする可能性もあることが勝てない原因と言えるでしょう。
ある程度トレンドが続く場合には有効
ダウ理論は後付けになりやすいというデメリットがありましたが、後付けだったとしてもトレンドが長く続く場合には十分に利益を出すことが可能です。
ダウ理論では、トレンドが以下の3段階に分かれていると言われています。
- 先行期
- 追随期
- 利食い期
先行期とは、トレンドが転換するポイントです。
新しいトレンドが始まる瞬間であるため、ボラティリティ(変動率)が小さくなることが特徴です。
追随期とは、先行期の状態を見た投資家が参加し始めるポイントです。
先行期と比べてボラティリティが大きくなることが特徴です。
利食い期とは、先行期でポジションを保有した機関投資家などが徐々に利確するポイントです。
この利食い期を逃してしまうと、利確のタイミングを失ってしまうことになるため、「まだ大丈夫」とポジションを持ち続けるのではなく、確実に利確した方が良いポイントと言えます。
トレンドが短い場合でも追随期ではなく先行期にエントリーできるように心がけていれば、ダウ理論でも十分利益が期待できます。
しかし、追随期はトレンドが明確に現れていますが、先行期はトレンドが明確でない可能性もあるため、エントリーの際は注意しましょう。
まとめ
ダウ理論は、プロのFXトレーダーも駆使する分析手法と言えますが、確実に予想が当たるというわけではありません。
有名すぎる理論であるため、ダウ理論で取引している人を嵌めこもうとする機関投資家の標的になりやすい、後付けになってエントリーポイントを間違いやすいことがデメリットとして挙げられます。
有名な分析手法であることには変わりありませんが、ダウ理論だけでは勝てないため、他のテクニカル分析も併用しながらダウ理論のデメリットをカバーしつつ取引した方が良いと言えるでしょう。