株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXのトレードである程度の利益が発生した場合には、その利益に対する所得税と住民税を納める必要があります。
少しでも納める税金を減らすために経費を計上しようと考えている人も多いと思いますが、どのような経費が認められるのでしょうか?
そこで今回は、FXはどんな経費が認められているのか、FXの経費について解説します。
Contents
FXはどんな経費が認められる?
FXでは、国が発行している通貨を取引することで差益を得ます。
日本のFX業者の場合にはレバレッジを最大25倍、海外のFX業者の場合にはレバレッジを100倍以上に設定できるため、少ない資金でも大きな利益を得ることが可能です。
そのため、FXで数千万円、億を超える利益を得ている人もいますが、トレードで発生した利益には給与所得と同様に所得税や住民税が課せられます。
トレードで発生した利益は、その全額に所得税や住民税が課せられるわけではありません。
経費を計上して残った利益に対して所得税や住民税が課せられます。
また、得られた利益によっては税金が発生しない場合もあります。
いくらの利益で所得税や住民税が課せられるのか、税率はどのくらいなのか詳しく解説します。
必ず税金が発生するわけではない
副業としてFXを行っている人の中には、年間でそこまで大きな利益が生じていないという人も多いと思います。
FXの利益は20万円を超えた、38万円を超えた場合が課税の1つの目安になります。
20万円という目安は、給与所得が2,000万円以下の会社員、年金収入が400万円以下の人です。
一方、38万円という目安は、自営業者やフリーランス、主婦、学生などです。
つまり、20万円以下、38万円以下の場合には、確定申告を行わなくても問題がないため、FXで利益が発生していても税金が課されません。
所得税と住民税は一律
FXのトレードによって生じた利益は、雑所得として扱われます。
日本は、給与所得の額が大きくなるほど税率が高くなる累進課税が採用されていますが、FXの税率は一定です。
FXのトレードによって生じた利益には、所得税15%に住民税5%を合わせた20%、2037年12月31日までは0.315%の復興特別所得税が加算された20.315%の税金が課されます。
FXで仮に4,000万円を超える利益が生じている場合には、累進課税であれば所得税45%、住民税10%を合わせた55%の税金が課せられます。
FXに対して課される税率は一律なので、利益が大きくなった場合には税金を抑えることが可能です。
しかし、利益が少ない場合でも同じ税率が適用されるため、利益が少ない人には高い税率と言えるでしょう。
FXで計上できる経費一例
FXで生じた利益は、全てが課税対象というわけではなく、経費を引いて残った利益が課税対象となります。
そのため、「経費を多く計上することで利益を圧縮できるのでは?」と思った人もいるかもしれませんが、何でも経費として認められるわけではありません。
経費として認められるものは主に以下のような支出です。
- 通信費
- 書籍購入費
- セミナー参加費用
- 家賃・光熱費
- システム使用料
- 備品購入費
それぞれの経費について詳しく見ていきましょう。
通信費
FXのトレードはパソコンまたはスマホさえあれば、土日を除いて24時間取引できますが、ネット環境が整っていなければ取引できません。
パソコンの場合はWi-Fi、スマホの場合は各キャリアの電波回線を利用するため、費用が発生します。
これらの通信費はFXのトレードに必要不可欠と言えるため、経費として計上できますが、全てを計上できるとは限りません。
FX専用の場合は全額が経費で認められる可能性がありますが、私用と混同している場合は一部しか認められないので注意が必要です。
書籍購入費
FXに関する知識を身に付けるために、書店でFXに関連する書籍を購入した場合には、その費用を書籍購入費として経費に計上することが可能です。
通信費は私用と混同している場合には、一部しか経費として認められませんでしたが、書籍購入費はFXに限定されたものであるため、全額を経費として計上できます。
特に書籍の冊数に上限はありません。
利益が多く生じた年にまとめて購入すると少しでも利益を抑えることができるでしょう。
セミナー参加費用
FXに関する書籍を購入する費用が経費として認められるのと同様に、セミナーに参加する費用も経費として認められます。
また、セミナーに参加するために公共交通機関を使った場合には、その交通費も経費として計上することが可能です。
遠方地の場合は宿泊費も経費として計上できるほか、セミナーの懇親会に関する飲食費も経費として計上できます。
家賃・光熱費
自宅にFX専用の部屋を設けてトレードをしている場合は、家賃や光熱費を経費として計上できます。
しかし、FX専用の部屋を設けていると言っても、私用と混同しているのが一般的なので、経費として認められるのは一部に限られるので注意が必要です。
自宅ではなくFXのトレードのために専用の事務所を借りている場合には、FXとの関連性が高いため、家賃と光熱費が全額経費として認められると考えられます。
システム使用料
FXは自分で行うのが一般的です。
しかし、自動売買のソフトを導入してトレードしている人も中にはいると思います。
自動売買に必要なソフトを導入するには費用がかかりますが、これらの費用は経費として計上することが可能です。
また、自動売買を24時間安定して行うために、レンタルサーバー(VPS)を利用する場合もその費用を経費として計上できます。
備品購入費
トレーダーと聞くと、モニターを複数設置したトレード専用の机でトレードしている姿を想像した人も多いと思います。
このようにトレードに使用するために購入したモニターや机などは、それ以外に使用していない場合は全額経費として計上することが可能です。
モニターを固定するためのアーム、マウスなどの取引に必要な備品はほぼ経費として計上できます。
経費を増やしたい場合は法人化
FXの利益に対して計上できる経費は、FXに関連するものに限られます。
そのため、経費を計上して利益を圧縮することによって節税につなげたいと思っていても、そこまで大きな節税効果は期待できません。
経費による節税効果を最大限に発揮したい場合は、個人でFXを行うのではなく法人化してFXを行うことをおすすめします。
法人化した後にFXで生じた利益は、雑所得ではなく事業所得になります。
そのため、FXで生じた経費だけでなく、法人の活動に必要な経費のほとんどを経費として計上することが可能です。
また、個人でFXを行った場合には雑所得同士の損益通算しかできませんが、法人でFXを行った場合には他の所得とも損益通算できるため、より節税効果が期待できるでしょう。
まとめ
副業程度でそこまで大きな利益を得ていない人には、所得税や住民税が課せられることはありませんが、20万円または38万円を超える利益を得ている人は課税対象となります。
FXで生じた利益が全て課税対象になるわけではありません。
経費を差し引いて残った分が課税対象です。
そのため、経費を少しでも多く計上して節税したい人も多いと思いますが、何でも経費として認められるわけではありません。
経費として認められるのはFXに関連するものだけに限られるため、事前に何が経費として認められるのか理解しておくことが重要と言えるでしょう。