株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
税金の控除のほか、自治体から送られてくる特産品等のお礼の品が目的でふるさと納税を行っているという人も多いと思います。
給与所得がある人は、その給与所得の金額に応じてふるさと納税の上限額が決まりますが、FXといった資産運用による収入はふるさと納税の上限額に影響を与えるのでしょうか?
そこで今回は、FXの利益をふるさと納税で節税できるか、FXとふるさと納税の関係を解説します。
Contents
FXの利益はふるさと納税で節税できる?
FXでの利益は雑所得として扱われるため、利益に対して約20%を納税する必要があります。
ふるさと納税による控除の限度額は所得額で決まるため、FXの取引で所得が増えた場合はふるさと納税による控除の限度額も増えることから節税効果が期待できます。
FXのトレードで発生した利益の控除限度額は、「(個人住民税所得割額×20%)÷(90%-所得税率×1.021)+2,000円」で算出。
また、FXの利益に対する個人住民税所得割額は、「所得(利益)額×住民税率(5%)」で算出します。
給与所得で算出した個人住民税所得割額に、FXの雑所得で算出した個人住民税所得割額が加わることで限度額が大きくなります。
100万円の利益に対して1万円程度の加算ですが、節税効果が期待できることに変わりはないでしょう。
ふるさと納税とは
ふるさと納税は、扱っている各自治体の過度な返礼品が問題視されて、総務省が指導に乗り出す事態にまで発展しました。
そもそもふるさと納税とは具体的にはどのようなものなのでしょうか?
ふるさと納税について詳しく見ていきましょう。
納税という名称でも実際には寄付
ふるさと納税には「納税」という言葉が付いていますが、自分が応援したい自治体に対して寄付を行います。
その寄付の金額に応じて税の控除を受けられるのが「ふるさと納税」です。
ふるさと納税は、税の控除というメリットのほか、寄付のお礼として返礼品を受け取れるというメリットもあります。
以前は金券を返礼品として扱っている自治体もありましたが、返礼品の競争を招く事態に発展したため、現在では扱われていません。
返礼品の質が高いため、ふるさと納税=返礼品というイメージが強いかもしれませんが、自治体や事業を応援する社会貢献制度が本来の目的です。
寄付先は自らのふるさとでなくてもいい
ふるさと納税には「ふるさと」という言葉が付いていますが、自分のふるさとに限定されていません。
自分が応援したい自治体であれば、どこでも寄付することが可能です。
ふるさと納税では、地元の特産品を返礼品として扱っている自治体も多くあります。
例えば、普段は足を運ぶことがない場所に寄付をすれば、その土地の特産品を返礼品として受け取れます。
旅行気分や移住気分を味わえることもふるさと納税の魅力の1つと言えるでしょう。
ふるさと納税の方法
ふるさと納税は何もしなくても寄付ができるわけではありません。
ふるさと納税で寄付を行うためには、手続きを行う必要があります。
ふるさと納税を行うための方法は以下の4つです。
- 控除の上限額を調べる
- 寄付する自治体を決める
- お礼の品と寄付金受領証明書を受け取る
- 寄付金控除の手続きを行う
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
控除の上限額を調べる
ふるさと納税で受けられる控除の上限は、年収や家族構成によって異なっています。
まずはいくら控除を受けられるのか、寄付を行う前に控除上限額を確認しておく必要があります。
ふるさと納税に関するサイトでは、控除上限額のシミュレーションを受けることができることもあるため、事前に確認しておきましょう。
寄付する自治体を決める
控除上限額が決まった後は、その上限額に合わせて寄付する自治体を決めます。
応援したい自治体はどこなのか、魅力的な返礼品を扱っているのはどこなのか検索します。
寄付する自治体が決めたら、寄付を申し込んでふるさと納税はひとまず完了です。
お礼の品と寄付金受領証明書を受け取る
寄付した自治体から返礼品と寄付を行ったことを証明する「寄付金受領証明書」と呼ばれる領収書が届きます。
この寄付金受領証明書は、確定申告で税金の控除を受ける際に必要になるので、なくさずにしっかり保管しておきましょう。
寄付金控除の手続きを行う
確定申告の時期になった時は、受け取った寄付金受領証明書を持って確定申告の手続きを行います。
返戻金の額が50万円以上もしくは一時所得の金額との合計が50万円を超える場合には、ふるさと納税のお礼の品を一時所得として申告しなければならないので注意しましょう。
確定申告をする際の注意点
FXをしていて利益が生じている人は、確定申告を行うことでふるさと納税の控除上限額を増やすことが可能です。
しかし、以下の条件に該当する人は、確定申告をする際に注意点があります。
- 個人事業主(専業トレーダーを含む)
- 主婦(主夫)
- 助成金等を受けている人
- 給与所得者
それぞれの該当する人の注意点について見ていきましょう。
個人事業主(専業トレーダーを含む)
一人目は個人事業主(専業トレーダーを含む)です。
個人事業主や専業トレーダーなどは、国民健康保険に加入しています。
国民健康保険の保険料は、所得によって決まるものなのでFXの利益が合算されることによって保険料が増加する可能性があるので注意が必要です。
主婦(主夫)
配偶者が加入する社会保険の扶養になっている主婦(主夫)の場合には、FXで扶養控除を上回る所得が生じると扶養から外される可能性があります。
そうなると、別に国民健康保険に加入することで、保険金の支払いや扶養手当などの支給を受けられなくなる可能性もあるので注意が必要です。
助成金等を受けている人
助成金や補助金を受けながらFXで利益を得ている人の場合は、FXで生じた利益によっては助成金や補助金の所得制限に該当してそれらを受けられなくなる可能性があります。
適用条件は各自治体で異なりますが、私立幼稚園保育料補助や高等学校就学支援金などは所得制限を設けていることが多いため、あらかじめ自治体に確認しておきましょう。
給与所得者
給与所得者で給与所得以外の所得が20万円以下の人は、確定申告する必要はありません。
しかし、ふるさと納税を申告する際は、確定申告しなければ控除を受けられないため、FXの利益分も申告する必要があります。
ふるさと納税の控除額を増加できる一方、納税額が増えることになるので注意しましょう。
まとめ
FXで生じた利益は、雑所得として扱われるとともに約20%を納税しなければなりません。
そのため、少しでも節税できないのかどうか気になっている人も多いと思いますが、そこで登場するのがふるさと納税です。
ふるさと納税は、控除上限額の範囲内で税金の控除を受けることが可能です。
控除上限額を算出する際の式には所得額が用いられるため、FXによって生じた利益も上乗せできます。
その結果、控除上限額を引き上げられるので節税効果が期待できますが、個人事業主(専業トレーダーを含む)・主婦(主夫)・助成金等を受けている人・給与所得者は注意が必要です。
これらの人たちは、ふるさと納税による控除よりも、国民健康保険料の保険料が高くなる、扶養控除や助成金等から外されるなどのデメリットが生じる可能性があります。
ふるさと納税の控除を受けた方が良いのか、確定申告すべきかどうかよく考えてから行いましょう。