株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXの口座を開設する際に個人用の口座と法人用の口座があり、どのような違いがあるのか気になっている人もいると思います。
副業程度に取り組んでいる人は、わざわざ法人化せずに、個人用の口座で取引を始めるのが良いと考えますが、実際はどうなのでしょうか?
そこで今回は、FXの法人化はメリットが多いのか、法人化の特徴について解説します。
Contents
FXの法人化はメリットが多い?
FXの取引を始める際に、口座を開設しようとしたところ、個人用の口座と法人用の口座があって何が違うのか気になった人も多いと思います。
個人が本業と別に副業としてFXを行う程度では、個人用の口座で十分だと考えていませんか?
しかし、副業としてFXを行っている人でも、法人化してFXを始めた方が良い場合があるので注意が必要です。
FXの法人化のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
FXの法人化のメリット
FXの法人化のメリットとして以下の5つが挙げられます。
- レバレッジの上限が高い
- 経費の範囲が広くなる
- 損益通算の範囲が広くなる
- 節税効果が期待できる
- 赤字の繰越期間が長い
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
レバレッジの上限が高い
レバレッジとは、自己資金以上の取引ができる仕組みのことです。
個人用口座の場合には、レバレッジが最大25倍までと制限が加えられています。
仮に、1通貨100円で1万通貨の取引をする際は100万円の資金が必要ですが、レバレッジ25倍であれば、25分の1の4万円で取引することが可能です。
しかし、法人化して法人口座で取引した場合には、このレバレッジの上限が適用されません。
法人専用のレバレッジになるため、より少ない資金で効率良く利益を得られるのが大きなメリットと言えるでしょう。
経費の範囲が広くなる
個人用の口座を開設してFXで利益が生じた場合は、その利益に対して税金を納める必要があります。
例えば、FXの取引にパソコンを利用した場合は、そのパソコンを購入する際にかかった費用や電気代などを経費にできます。
しかし、全ての費用を経費にできるわけではありません。
そのため、少しでも利益を減らす目的で、関係ない経費を計上しようとしても個人口座の場合はFXに関連した経費しか計上できないので注意が必要です。
一方、法人化して法人口座で取引した場合は、FXに関連した経費以外にも計上することが可能です。
法人として活動するのに必要な経費を計上することで、利益を抑えられることもメリットと言えるでしょう。
損益通算の範囲が広くなる
損益通算とは、損失と利益を通算して納める税金を算出することです。
例えば、個人口座でFXを行っている人は、AというFX業者とBというFX業者の2つで取引している場合は、その両方で生じた利益と損失を通算することが可能です。
しかし、FX以外に不動産投資を行っていても、FXと不動産投資で生じた損失や利益を損益通算することはできません。
FXで生じた利益は雑所得、不動産投資で生じた利益は不動産所得として扱われるためです。
ところが、法人化して法人口座でFXを行った場合には、不動産所得もFXによる雑所得も全て事業所得になるため、損益通算を行うことができます。
つまり、どちらか一方に損失が生じていて、他方に利益が生じている場合は、無駄な税金を納めずに済むでしょう。
節税効果が期待できる
個人口座でFXを行って利益が生じた場合、その利益は雑所得として扱われます。
雑所得の税率は住民税が5%、所得税が15%、復興特別所得税が0.315%の合計20.315%です。
一方、資本金が1億円以下の普通法人では、年800万円以下の部分は15%、年800万円を超える部分は23.2%の税率が適用されることになっています。
単純に考えると、FXで800万円を超える利益が生じている場合は、適用される税率が高くなるため、損をしているように感じます。
しかし、損益通算や経費の範囲が広くなることを考えるとトータルではプラスとなります。
また、800万円以下の場合には、雑所得よりも税率を低く抑えられるため、節税効果が期待できるのがメリットと言えるでしょう。
赤字の繰越期間が長い
個人口座の場合には、FXで損失が生じた場合でも、赤字を最大3年間しか繰り越すことができません。
例えば、1年目に100万円の損失が生じ、2~4年目まで毎年20万円の利益が生じた場合、2~4年目の3年間は赤字の繰り越しで利益がなかったことになります。
しかし、40万円の損失がまだ残っていますが、それは繰り越すことができません。
しかし、法人化した法人口座の場合には、赤字を最大9年間繰り越すことが可能です。
個人口座の繰越期間の3倍も赤字を繰り越せます。
そのため、個人口座で取引するよりも、法人口座で取引した方が赤字の繰り越しによる節税効果が大きいと言えるでしょう。
FXの法人化のデメリット
FXを個人口座で行うのではなく、法人化して法人口座で行った方が、レバレッジの上限が高い・経費の範囲が広くなるといったメリットがありました。
では、法人化することに何かデメリットはあるのでしょうか?
FXの法人化に対するデメリットして以下の2つが挙げられます。
- 法人の設立に手間と費用がかかる
- 法人のお金を自由に使うことができない
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
法人の設立に手間と費用がかかる
法人口座を設立するには、法人を立ち上げる必要があります。
法人を立ち上げる場合には、会社を作る発起人を集めて、事業内容・会社概要・定款などを決めなくてはなりません。
その後、法人登記を申請するために会社の実印を作成して、出資金を個人口座に振り込んだコピーとともに登記申請書類を作成します。
法人登記が完了した後は、事務所や社会保険事務所に届出を行い、それらが完了すれば後はFX業者に法人用の口座を開設すれば取引を始めることが可能です。
このように、法人の設立には手間がかかります。
これらの手間を省くために弁護士などの専門家に手続きを依頼すると、数十万円の費用がかかります。
簡単に法人を設立できるわけではないため、法人化して法人口座で取引しようとしている人は、事前にどのような手続きと費用がかかるのか理解しておく必要があるでしょう。
法人のお金を自由に使うことができない
法人化して法人口座でFXを始めた場合でも、取引で生じた利益を個人が自由に使うことができるわけではありません。
FXで生じた利益は、法人の口座に振り込まれて法人の資金になります。
そのため、取引で生じた利益を受け取りたいと思っても、役員報酬分しか受け取ることができません。
FXの取引で生じた利益をうまく個人に流そうと不正を働いた場合には、税務調査が入って大きな問題になる可能性も。
法人化するメリットは確かにありますが、デメリットも踏まえながらどちらがいいかよく考えてから口座を開設しましょう。
まとめ
FXを始める際は、FX業者で口座を開設する必要があります。
法人口座の場合には、レバレッジの上限が高い・経費の範囲が広くなるといったメリットがあります。
しかし、法人口座の開設には法人化が必要で、法人化は手間と時間がかかるので注意が必要です。
法人化するとそのルールに従わなくてはなりません。
メリットの多い法人化ですが、法人の設立や維持に無駄な時間や費用がかかる可能性もあるため、デメリットもよく考えてから口座開設に移りましょう。