株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
FXで安定した利益を得るには勝率を上げることが重要と考えている人も多いでしょう。
しかし、勝率90%のトレーダーであっても、通算ではマイナスが上回っている場合があります。
FXで利益を得るには勝率を高く維持することも確かに重要ですが、それよりも重要なのがリスクリワードです。
そこで今回は、FXで安定して利益を得る上で重要なリスクリワードについて分かりやすく解説します。
Contents
FXのリスクリワードとは
リスクリワードとは、取引で生じる利益と損失の比率のことを言います。
対して、FXは、為替が上がるか下がるか予想してエントリーし、エントリーポイントからの差益を得る運用方法です。
為替は上がるか下がるかのどちらかしかないため、単純に考えると勝率50%の運用方法に見えますが、取引する人によって勝率は大きく変化します。
例えば、コイントスで表か裏かを当てる場合は予測が困難であるため、勝率は単純に50%です。
しかし、FXの場合はファンダメンタルズ分析やテクニカル分析で変動をある程度は予測できるため、勝率を50%以上に高めることが可能です。
勝率が高ければ誰でも勝てるような気がしますが、必ずしもそうとは言い切れません。
その理由は、リスクリワードの設定を間違っているためです。
例えば、あるトレーダーの10回の取引成績が1回の利益1万円、損失5万円で勝率80%の場合は、8万円の利益に対して損失が10万円なので、勝率80%でも2万円の損失が生じます。
では、リスクリワードと勝率にはどのような関係があるのでしょうか?
リスクリワードの比率と勝率の関係をいくつか見ていきましょう。
リスクリワード1:1の場合
リスクリワード1:1とは、1回の取引の利確と損切りの額を同額に設定している状況です。
リスクリワード1:1では、勝率50%でちょうどプラスマイナスゼロになります。
つまり、勝率50%を下回れば損失が生じ、勝率50%を上回れば利益が生じる状態です。
FXの取引経験が豊富なトレーダーであれば、勝率50%以上を確保できる可能性が高いため、リスクリワード1:1で取引しても問題はないと言えます。
しかし、FXの取引経験が少ない初心者トレーダーは、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を誤って、勝率が50%を下回る可能性が高いと言えます。
そのため、初心者トレーダーの場合にはリスクリワードを高めた方が、リスクを抑えながらより安心して取引しやすいと言えるでしょう。
リスクリワード1:1.4の場合
リスクリワード1:1.4とは、1回の取引の利確を損切りの1.4倍に設定している状況です。
リスクリワード1:1.4では、勝率が42%あればプラスマイナスゼロになります。
つまり、勝率42%を下回れば損失が生じ、勝率42%を上回れば利益が生じる状態です。
FXの取引経験が豊富なトレーダーの場合には、勝率42%よりも上回る可能性が高いため、リスクリワード1:1の時よりも多くの利益が期待できます。
一方、FXの取引経験が少ない初心者トレーダーの場合には、リスクリワード1:1の時と比較して、勝率が8%下がっても問題ありません。
そのため、初心者トレーダーには、50%以上の勝率が求められるリスクリワード1:1よりもリスクを抑えながらより安心して取引しやすいと言えるでしょう。
リスクリワード1:1.8の場合
リスクリワード1:1.8とは、1回の取引の利確を損切りの1.8倍に設定している状況です。
リスクリワード1:1.8では、勝率が36%あればプラスマイナスゼロになります。
つまり、勝率36%を下回れば損失が生じ、勝率36%を上回れば利益が生じる状態です。
FXの取引経験が豊富なトレーダーの場合には、リスクリワード1:1.4と同様、勝率36%を上回る可能性が高いため、より多くの利益が期待できます。
一方、FXの取引経験が少ない初心者トレーダーの場合には、リスクリワード1:1.4と同様、勝率が多少下がっても利益で補えるためより安心して取引しやすいでしょう。
リスクリワードが1を下回る場合
リスクリワードが1:1を下回るのはどのような状況なのでしょうか?
先ほどまでは利益が損失を上回っている状況でしたが、リスクリワードが1:1を下回ると反対に利益が損失を下回っている状況です。
例えば、リスクリワード1:0.8の場合は勝率56%でプラスマイナスゼロとなり、1:0.4の場合は勝率72%でプラスマイナスゼロになります。
リスクリワードの比率が低ければ低いほど、勝率を高く維持しなければ利益が得られなくなります。
そのため、安定した利益を得るためには、リスクリワードの比較的高い取引を目指すことが重要と言えるでしょう。
勝率は自らコントロールできるものではない
「リスクリワードを低く設定しても勝率が高ければ問題ないのでは?」と感じられる人もいるでしょう。
しかし、勝率はファンダメンタルズ分析や、テクニカル分析などを駆使して50%を上回る水準にできても、70%以上の水準に高めることは困難です。
例えば、2019年に入ってから多少下落しましたが、米ドルには上昇トレンドが生じていて112円にチャレンジする展開となっていました。
112円を付けた後は「113円を目指す」と予想する人が多くいましたが、トランプ大統領の急な中国への完全発表であっという間に112円から109円に下落しました。
このようにファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を駆使している人でも、ネガティブサプライズに巻き込まれて損をする場合があります。
勝率を上げようとしてもそう簡単に上がるものではないため、勝率を上げることよりもリスクリワードをいくつに設定するか意識した方が良いと言えるでしょう。
理想的なリスクリワードは
リスクリワード1:1.8であれば、勝率36%を上回っていれば利益が得られるため、リスクリワードは1.8あれば十分に思えますが、実際はどうなのでしょうか?
リスクリワードは最低でも「1:2.0」、理想的なのは「1:2.5」~「1:3.0」と言われています。
つまり、損失を1万円、利益を2.5万円~3万円程度を想定した取引をすることです。
例えば、リスクリワード1:2.5の状況で勝率50%の取引を10回繰り返したとすると、利益12.5万円に対して損失5万円となるため、7.5万円の利益が生じます。
十分な利益が期待できるだけでなく、損益分岐点となる勝率も約29%と、10回に3回勝てば負けないため、リスクを抑えながら取引できるでしょう。
リスクリワードを高めるにはタイミングが重要
リスクリワードを高く設定すると、勝率が低い場合でも十分な利益が期待できます。
しかし、リスクリワードを高めたものの、そのポイントまで値が到達しなければ意味がありません。
例えば、利確ポイントがレジスタンスラインやサポートラインを超える位置である場合は、そこまで値が到達しない可能性が高いと言えます。
つまり、「勝率が低くなっても大丈夫なようにリスクリワードを高くする」という決め方ではNGだということ。
チャートのレジスタンスラインやサポートラインをしっかり確認し、状況に合ったリスクリワードを決めることが需要と言えるでしょう。
まとめ
FXでは90%の勝率を誇っていても、1回の損失が大きいとトータルで負ける可能性があります。
そのため、FXで安定した利益を得るには、勝率を高く維持することも重要ですが、利益と損失の比率であるリスクリワードをどの程度に設定した取引をするかが重要です。
リスクリワードは高く設定すればするほど、勝率が低くても問題ありませんが、チャートとかけ離れたリスクリワードを設定すると、無駄な損切りを増やしてしまうことになります。
取引の勝率やその時のチャートの状況などを考慮しながら、常に最適なリスクリワードを決めながら取引しましょう。