株式会社インベストメントカレッジ
吉田健吾
累計12万5000人以上の個人投資家が学ぶ投資スクール「Daily Wealth」の運営責任者。講師には、カリスマFXトレーダーの維新の介を始め、毎年億を稼ぐプロトレーダー、不動産投資歴19年の元祖サラリーマン大家、FX・株・先物・不動産投資、ベンチャーキャピタルなど幅広く精通する大分の投資家など、一流のトレーダー・投資家がいる。
国内のFX業者には、ロスカットというレバレッジを効かせた取引をしても、安心して取引できるように証拠金以上の損失を生じさせないための仕組みが採用されています。
しかし、ロスカットがいくらの含み損で発動するか把握できていないと、急なロスカットで損失が大きくなるので注意が必要です。
そこで今回は、FXのロスカットがいくらの含み損で発動するのかを計算する方法について解説します。
Contents
FXのロスカットは計算で事前に確認
FXではレバレッジを効かせることによって、自己資金を少なく抑えながら取引することが可能です。
本来の自己資金で得られる利益を最大25倍にできる一方、損失も25倍になる可能性があるので注意が必要です。
100万円のポジションで5万円の損失が生じた場合は、証拠金以上の損失が生じることになります。
そうなると、トレーダーは多くの損失を抱えてしまうため、そうなる前に強制的に決済してしまうのがロスカットです。
ロスカットはトレーダーを守る一方で、強制決済なので損失を確定させてしまうというデメリットがあります。
「あと少し耐えていればトレンドが転換して含み損が小さくなっていた」と思っていても、ロスカットが発動してしまっては意味がありません。
また、ロスカットが無駄に発動すればその分だけ損失が増えるだけなので、ロスカットがいくら含み損を抱えると発動するのか事前に計算して確認しておくことが重要と言えるでしょう。
ロスカットを計算するうえで重要な3つの数値
ロスカットを計算する際には以下の3つの数値について理解しておく必要があります。
- 必要証拠金
- 有効証拠金
- 証拠金維持率
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
必要証拠金
必要証拠金とは、FXで取引する際に最低限必要な証拠金のことです。
必要証拠金は以下の計算式によって求めます。
必要証拠金=為替レート×取引数量÷レバレッジ
例えば、1通貨100円の通貨を1万通貨取引する際にレバレッジ25倍で取引した場合は、「100円×1万通貨÷25倍=4万円」となるため、4万円で十分に取引可能です。
一方で、レバレッジ10倍では「100円×1万通貨÷10倍=10万円」となるため、10万円あれば取引可能です。
レバレッジが低くなると必要証拠金が多くなります。
高いレバレッジの場合にはリスクが高くなる一方、資金効率は良くなることを覚えておきましょう。
有効証拠金
有効証拠金とは、未決済のポジションを保有している状況で、評価損益と証拠金を合算した金額のことです。
有効証拠金は以下の計算式によって求めます。
有効証拠金=証拠金+評価損益
例えば、レバレッジ25倍、証拠金4万円、1通貨100円の通貨を1万通貨保有していて、為替が100円から101円になったとします。
そうなると1万円の利益が生じていることになるため、有効証拠金は「4万円+1万円=5万円」になります。
有効証拠金は次の証拠金維持率を求める際に必要になるので覚えておきましょう。
証拠金維持率
証拠金維持率とは、証拠金をどのくらい使って取引しているかを判断する指標です。
証拠金維持率は以下の計算式によって求めます。
証拠金維持率=(有効証拠金÷必要証拠金)×100
例えば、有効証拠金が10万円、レバレッジ25倍、1通貨100円の通貨を1万通貨保有するという条件で証拠金維持率を求めた場合は「(10万円÷4万円)×100=250%」となります。
仮に1通貨100円で保有した通貨が95円になった時(5万円の含み損)の証拠金維持率を求めると「(5万円÷3.8万円)×100=132%」となります。
証拠金維持率はロスカット計算に必要な知識なので覚えておきましょう。
証拠金維持率とレバレッジの関係
証拠金維持率は自分で計算して求めなくても、FX業者によっては自身の口座を確認すると証拠金維持率が表示されているケースが増えています。
しかし、証拠金維持率が表示されていても、自分がレバレッジを何倍で取引しているか簡単には分かりません。
証拠金維持率とレバレッジの関係は以下の通りです。
- レバレッジ1倍:証拠金維持率2,500%
- レバレッジ2倍:証拠金維持率1,250%
- レバレッジ5倍:証拠金維持率500%
- レバレッジ10倍:証拠金維持率250%
- レバレッジ25倍:証拠金維持率100%
証拠金維持率を見ると、自分がどのくらいのレバレッジ倍率で取引をしているのか簡単に算出できるでしょう。
ロスカットの計算方法と使用用語
証拠金維持率が各FX業者の定めている水準にまで下がった場合にロスカットが発動します。
ロスカットは損失が大きくなることを防いでくれますが、ロスカットで強制決済されると損失が確定することになるので、ロスカットがいくらで発動するのか把握しておくことが重要です。
ロスカットが発動する水準を求める計算式は以下の通りです。
ロスカットの水準=有効証拠金-(必要証拠金×ロスカットレベル)÷保有量
例えば、有効証拠金10万円、ロスカットレベルは100%、1通貨100円の通貨を1万通貨、レバレッジ25倍で取引した時のロスカット水準は、「10万円-4万円×100%÷1万通貨=6円」となります。
つまり、100円から6円を引いた94円でロスカットが発動します。
一方で、ロスカットレベルが50%の時は「10万円-4万円×50%÷1万通貨=8円」なので94円、ロスカットレベルが100の時に2万通貨保有すると「10万円-8万円×100%÷2万通貨=1円」なので99円です。
最後にロスカットの計算時に使う用語について見ていきましょう。
ロスカットレベル
ロスカットレベルとは、ロスカットがいくらの含み損で発動するかという水準のことです。
このロスカットレベルは口座を開設するFX業者によって、20%・40%・50%・100%など、それぞれ異なっています。
ロスカットレベルが低く設定されているFX業者は、ロスカットの発動まで余裕があるため資金効率が良いという特徴があります。
一方で、ロスカットが発動した場合の損失が大きいというデメリットがあります。
ロスカットレベルが高いと、ロスカットが発動しやすくなるというデメリットがある一方、ロスカットが発動しても損失が小さいという特徴があります。
資金管理に不安がある人は、ロスカットレベルが高いFX業者を選ぶのがポイントと言えるでしょう。
ロスカットアラート
ロスカットアラートとは、ロスカットが発動することを事前に警告してくれる仕組みです。
ロスカットアラートを無視していると、ロスカットレベルに達した時にロスカットされてしまうため、対策を練る必要があります。
対策は以下の2つです。
- ポジションを決済する(一部でも可)
- 追加入金して証拠金維持率を高める
これらの対策をすることでロスカットを防げますが、一時的にロスカットから逃れるだけなので、早めの損切りも意識しておきましょう。
追証
追証とは、マージンコールとも呼ばれており、証拠金維持率が100%を下回った場合などに発動するものです。
ロスカットはロスカットレベルを下回った時点で強制決済されますが、追証は決められた時間までに不足している証拠金を回復させればロスカットを防ぐことが可能です。
対策は以下の2つです。
- ポジションを決済する(一部でも可)
- 追加入金して証拠金維持率を高める
追証の対策はロスカットアラートの対策と同じです。
追証は全てのFX業者で採用しているものではないので採用されているか事前に確認しておきましょう。
まとめ
FXでは、レバレッジを効かせた取引で急な為替変動が生じて、証拠金以上の損失を抱えることがないようにロスカットという仕組みがあります。
ロスカットは、FX業者が設定した水準に達した場合に、強制決済してトレーダーの資金を守ります。
しかし、ロスカットは頻繁に生じると、無駄な損切りが増えるだけなので注意が必要です。
無駄な損切りを防ぐためには、ロスカットがいくらの含み損で発動するのか計算によって把握しておくことが重要です。
うまくロスカットの仕組みを利用して、リスクを抑えながら取引しましょう。